2014年12月10日水曜日

地域創造論 2014年度 第09回「グループワーク②:中間発表Ⅱとディスカッション」

 みなさん、こんにちは。本日は2014年度の地域創造論、第09回目となります。
 今回は、「グループワーク②:中間発表Ⅱとディスカッション」とあるように、各班が15分程度(発表:8分、質疑・アドバイスなど:7分)で前回の発表を踏まえた途中経過を発表しました。各班の発表内容とそれに対する意見の概要は以下のとおりです。
【県西グループ】
県西グループ
県西チームは、秦野市の中でもとりわけ「弘法の清水」で有名な地域について、商店街がシャッター街になってしまっていること、比較的昔から地元で暮らしてきた住民とベッドタウンとして暮らしている住民が分離していてコミュニティが希薄になっていること、水無川のオープン・スペースが活用されていないことなどを課題としていました。それに対し、グループとしては、生活用水として用いられてきた湧水を遠くに住む人や高齢者へ届けることなどによってコミュニティを強化したり、水無川のオープン・スペースで地元の野菜などを販売することによって、農業や産業を盛り上げたりしていきたいそうです。一方、先生方からは「湧水を使いすぎていることも問題となっている」、「ベッドタウンの人々と昔からの住民は物理的に離れすぎてはいないか」といった指摘があり、全体としてはまだそれぞれがバラバラに案を出しただけで、ひとつのストーリーになっていないことが課題とされました。
産業グループ
【産業グループ】
産業チームは、綱島に新駅ができることに注目し、主に綱島地域の歴史について調べてきました。それによると、綱島は温泉街やモモの産地として有名だった時代から、交通の便が向上したことなどにより、箱根に湯治客が流れた結果、ベッドタウン化し、現在はパナソニックが別の地域に工場を移転したため中小企業が困っているそうです。彼らはこれを「多層的な産業」と表現し、地域の歴史の中でいくつもの産業が塗り重ねられているとしました。そうした歴史をもつ綱島という地域に対し、彼らは住民同士、あるいは産業同士、住民と産業が連携することによって新しい駅前空間のあり方を提案したいそうです。一方、先生方からは「具体的な課題や提案の中身は何か」、「今後どういった調査をするつもりか、あるいはどこにヒアリングしにいくのか」といった指摘があり、全体としては具体的な課題の設定や「歴史の層に眠っている産業を復活させるのか、それとも新たな産業を塗り重ねるのか」といったことが課題とされました。
【コミュニティグループ】
コミュニティグループ
コミュニティチームは、県営住宅の一般的な課題としてコミュニティの希薄化が問題になっていることに注目し、津波の浸水被害などに対する脆弱性があることを指摘しました。また同時に、横須賀にある万代会館という歴史的建物に対する助成金が廃止される可能性があることを取り上げました。それゆえ、近くにある津久井浜団地に対し、万代会館を活用することでコミュニティの強化に取り組んでいきたいそうです。一方、先生方からは「本当にその団地でも、コミュニティの希薄化が問題として意識されているのか」といった指摘があり、全体としては、まずその地域の住民や自治会の方々にお話をうかがったうえで、具体的に万代会館で何をするのかを考えることが課題とされました。
【海グループ】
海グループ
海チームは、前回の反省も踏まえてみなとみらい周辺の地域を調べ直した結果、「みなとみらい地区よりもその近くにあるポートサイド地区の方が、改善の余地が大きいのではないか」との結論に至り、古い建物が更新されずに残っていることや空き店舗や空き倉庫が多いことなどを課題として挙げていました。そのほか、「高効率かつ有効な地域熱供給はできているか」、「予測によれば津波の浸水域とされている」、「地域内部で完結していて、外とのつながりが感じられない」といった点にも注目していました。これに対し、リノベーションや護岸の整備、自然エネルギーの活用、芸術をとおしての地域振興といったアイディアで課題を解決していきたいそうです。一方、先生方からは「具体的に誰が空き店舗などを使うのか」、「既存の地域計画との関係や位置づけはどうなっているのか」、といった指摘があり、全体としてはまだひとつひとつの要素同士がバラバラであること、もう少し地域の課題を掘り下げる必要があることが課題とされました。
【教育グループ】
教育グループ
教育チームは、前回に引き続き彼らが「もったいない空き家」と呼ぶ空き家の有効活用をテーマとしていました。具体的には今泉台という地域の空き家を活用したいとのことですが、その空き家の活用によって、子育ての孤立化や放課後の子供たちの居場所づくり、伝統の伝承といった問題を解決する一般的なモデルを提案したいそうです。しかし、現状では鎌倉市では空き家のマッチングがうまくいっていなかったり、現実的で綿密な運用計画がなければ空き家を使用できないため、さらに事例を深く調査していくそうです。一方、先生方からは「そもそもなぜ空き家になっているのか」、「空き家の所有者も誰にでも貸すわけではないそうだ」「外国人のゲストハウスとして活用し、掃除などを地域の人がパートとして担当する事例もある」といった指摘があり、全体としてはもっと地域の特性を分析し、地域のニーズに合った提案を考えていくことが課題とされました。

 それでは、本日の内容は、以上となります。なお次回(1217日)と次々回(1224日)は、「グループワーク③&④:現地調査」が予定されているため、ブログの更新はお休みとなります。再開は20150107日の「グループワーク⑤:調査結果発表とディスカッション」からです。その際には、各班510分程度で調査の途中経過を報告していただきます。
山川博彰

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